実証講義

F エネルギー環境社会学

F-6 資源・環境関連事業の社会的受容性

平成21年度 実証講義

金政修司(九州大学石炭等化石資源中核人材育成推進室
大平 裕(福岡県地球温暖化防止活動推進センター
垣迫裕俊(北九州市)
蓼原典明(NPO法人 えふネット福岡 )
辻井洋行(北九州市立大学基盤教育センターひびきの分室)
宮下 永((財)北九州産業学術推進機構

科目概要

資源環境問題は、最終的には市民の意識の問題であり、市民の選択の問題であることを念頭においてNPOに代表される非営利民間事業の果たす役割と、それも含めた市民の活動に対する行政側の期待或いはそれを誘導する政策について講義する。

学習目標

効率的で高性能な技術開発が完了したとしても事業化できるとは限らない。事業化は市民や社会に受け入れられて始めて実現することを学習する。

各コマ概要

コマ 講義・教材担当 内容
宮下 永 「資源環境問題への社会システム的アプローチ(概論)」
持続可能な社会システムを構築する上で、資源・環境問題に対して産学官民の各セクターが共同で取り組む必要がある。何故そう云えるのか、資源・環境問題の本質と、対応技術ならびに事業の方向について考える。
垣迫裕俊 「資源環境事業創出のための合意形成に不可欠な社会環境」
あらゆる技術は社会(市民)に受け入れられて完成する。北九州エコタウン事業における、各種資源・環境・エネルギー産業の立地が市民にどう説明され、市民がどう反応し受容したのかの実践ケースを紹介する。これらの事例を通じて、リスクマネジメント、トレードオフの考え方をいかに市民に伝えた かを述べ、さらに公共政策決定の場における科学技術者の「専門知」と市民の「現場知」との関係を考える。
辻井洋行 「資源環境事業の社会受容における企業責任」
資源・環境関連企業や事業は、利益を追求するのみならず組織活動が社会に与える影響に責任を持ち、あらゆる利害関係者からの要求に対して適切に意思決定したことを示すことが求められる。企業や事業の経済活動には利害関係者に対する説明責任があり、説明出来なければ社会的容認が得られず信頼さ れる事業として存続できない。持続可能な社会を目指すには、企業の意思決定 を判断する消費者や市民に対する十分な社会的説明責任が必要不可欠となる。
蓼原典明 「社会と企業の合意形成におけるメディア、NPOの役割」
資源・環境事業の社会による受容性を考える際、構成員である市民は幅広い知識と独自の価値観を養って問題の本質を鋭く見抜く能力を身につけることが求められ、一方、往々にして市民の意識構築に多大な影響を及ぼすマスメディアには、中立な立場での情報発信に徹することが求められる。市民のメディアリテラシー不足あるいはマスメディアの価値観偏重によって不適正な社会受容性の判断がなされたケースで、この不均衡を是正するために NPO 法人にどのような役割が果たせるかについて講義する。
大平 裕 「石炭中核人材の情報発信力を育成するためのワークショップ」
本教材で学んだ化石資源に関する知識や経験を社会的に普及啓発し、石炭とその資源化技術が社会に受け入れられることが、石炭中核人材に求められるスキルである。本章では、第1-4章で学んだ内容を軸に、小班に分けた受講者によるワークショップと「市民へ伝えること」をイメージした数分程度の発表と質疑応答を班別に行う。これらを通じて、石炭に関する情報の受発信、整理の重要性とポイントを演習する。